再就職支援会社のサービスを実際に利用してみて

退職・転職

退職した会社(以下、前職場)には役職定年制度があり、58歳に到達した幹部職(課長職以上)は①部下や組織を持たない参事となる、②早期退職する、のどちらかを選択するという制度でした。
ほとんどの社員は①参事を選択するのですが、私は早期退職の方を選択しました。世の中的には65歳定年制などの流れから高齢社員の雇用を継続する取り組みを行っていますが、今後の成長があまり期待できない高齢社員は人件費の負担でしかないので、会社的には50代後半にもなれば早々に退職してもらいたい、というのが本音だと思います。
とは言え、早期退職した場合のメリットを打ち出さないと誰も選択してくれないので、前職場では以下の2点の優遇措置がありました。

  • 退職金の上乗せ
  • 再就職支援会社によるサービス提供

早期退職に伴い再就職支援会社のサービスを受けてみましたので、本記事では再就職支援会社の概要と、実際にサービスを体験してみた所感をまとめておきます。(利用した会社名は記載しませんが、記事の中のどれかです)

再就職支援会社と転職エージェント・転職サイトの違い

TVコマーシャルでよく見るリクルートエージェントやdodaなどは転職エージェントあるいは転職サイトのサービスを提供する企業で、大抵は転職エージェントと転職サービスの両方を手掛けています。これらのサービスは転職を希望する個人が会員登録を行うことでサービスが提供され、めでたく転職が決まった時には転職先の企業が転職サービス企業に紹介手数料を支払います。

再就職支援会社も転職サービスを提供する企業ですが、大きな違いは転職元の企業 (勤めていた会社) が再就職支援会社に手数料を支払う点にあります。それ以外は転職エージェントのサービスと基本的な違いはありません。そもそも再就職支援会社とは、企業のリストラや早期退職(私が該当)などで離職を余儀なくされた方々がスムーズに次のキャリアに移行できるよう支援する専門機関なので、リストラする企業側が社会的な責任を認識し一種の福利厚生として費用を負担する格好となります。

再就職支援会社 5選

代表的な再就職支援会社を示します。(あいうえお順)

リストラする企業が契約した再就職支援会社を利用するので、退職者が自由に再就職支援会社を選択できるわけではありません。個人が複数の転職エージェントに登録して、エージェント間のサービス内容を比較する、といったことが再就職支援会社に関してはできないので、会社ごとに特徴はあるとは思いますが、ここでは簡単な説明だけに留めます。

タリスマン株式会社 (人材最適化プラットフォームmutualy)
タリスマンは特に外資系企業への再就職支援に強みを持つ転職エージェントで、法人向けサービスとして「mutualy」という名称で再就職支援サービスを提供しています。

株式会社パソナ キャリアアセット事業本部
パソナは人材派遣事業を中核としながら多岐にわたる事業を展開していて、法人向けサービスのひとつとして再就職支援サービスを提供しています。

パーソルキャリアコンサルティング株式会社
パーソルキャリアコンサルティングは総合人材サービスのパーソルグループに属する会社で、法人向けとしてキャリア研修や再就職支援などのサービスを提供しています。
しかしながら2024年12月2日付けのお知らせのとおり、再就職支援サービスを含む職業紹介事業は2025年3月30日で終了するとのことです。

マンパワーグループ株式会社 (ライトマネジメント)
マンパワーグループは総合人材サービスのグローバルカンパニーで、ライトマネジメント事業部が人材育成や再就職支援サービスなどを提供しています。

株式会社リクルートキャリアコンサルティング
リクルートキャリアコンサルティングは人材業界最大手のリクルートグループに属し、圧倒的な求人情報量と長年の実績に強みを持って再就職支援サービスを提供しています。

再就職支援サービスの費用

費用は企業側の負担なので、ある意味いくらかかろうと退職者には関係ない話なのですが、ライトマネジメントの人事向けブログの記事では50万円~100万円が相場と述べられています。
 人事向けブログ ⇒ https://mpg.rightmanagement.jp/hrcafe/cm/200907-3.html
また、リクルートキャリアコンサルティングは手数料をサイトに掲載しています。3種類の手数料共に上限100万円のザックリな記載で、最大で300万円かかることになります。しかしながら、実際に発生する費用は着手金だけではないかと推測します。
 手数料表 ⇒ https://www.recruit-cc.co.jp/info/pdf/tesuuryou.pdf

再就職支援会社のサービス実体験

前職場では2社の再就職支援サービスを契約していたようで、2社から選択できる計らいがありました。しかしながら、2社の申請書を渡されただけでサービス内容の説明は何もなく、自分でネット検索して調査・比較することが必要でした。2社のホームページの説明には大きな違いはなく、どちらも人材業界では大手なので、どちらを選んでも大差はないと思えました。

最終的に決め手となったのは申請書の内容で、一社は名前や住所などを書くだけだったのですが、もう一社は再就職支援コースと独立コースの選択肢がありました。当時は再就職するか独立起業するかをはっきり決めていなかったため (気持ち的には2:8ぐらいの割合)、縛りのない前者の方に決めた次第です。

以下では私が実際に体験した再就職支援会社のサービス内容について記載します。私は独立起業寄りの考えだったので、それに合わせたカウンセリング内容だったことにご注意ください。すぐに再就職したいような人には違った対応になると思われます。

■サービス期間

2024年4月から1年間
(前職場と再就職支援会社との契約に基づくもので、再就職が決まった時点で終了)

提供サービス

  • 初回ガイダンス (サービス内容の説明、再就職の状況等の説明など)
  • 会員用サイトの登録
  • WEBセミナー (数か月おきの同一内容のセミナーと特定テーマのセミナーがあり)
  • 会場セミナー (神奈川地区や横浜地区限定のセミナーはありましたが、東北や岩手地区はなし)
  • 動画セミナー (会員用サイト内でのオンデマンド視聴)
  • カウンセラーとの毎月の面談 (転進希望の確認や求人紹介などを話し合い)
  • 合同企業説明会 (横浜支店在籍中に2回ありましたが、盛岡支店ではなし)

■サービスの流れ

最初に初回ガイダンスに参加し、サービス内容や今後の作業についての説明を受けます。
前職場でのキャリアの棚卸しを行い、応募書類となるキャリアシート・職務経歴書・履歴書を作成します。(職務経歴書作成のセミナーもありました)
担当カウンセラーとの面談を行い、応募書類の内容や転進希望内容の確認を行って認識合わせをします。
面談は月一回行い、希望条件の変化の確認や、独立起業ならば事業計画案の意見交換などを行います。
各種セミナーは任意参加なので、面白そうな内容のセミナーがあれば適宜申し込んで受講します。
10社程度の企業を集めての合同企業説明会も任意参加で、話を聞いてみたい企業があれば参加申し込みします。

■サービスを受けてみての所感

退職時は横浜市に住んでいましたが数か月後には盛岡市に転居したため、2か所の支店で異なるカウンセラーのお世話になりました。当初は横浜支店のカウンセラーに対応していただきましたが、盛岡に転居後は盛岡支店のカウンセラーに引き継いでいただきました。
横浜市は会員数が多いので (初回ガイダンスは10数名と一緒に受講しました)、担当カウンセラーは横浜専従でしたが、東北地域は会員数が少ないためにカウンセラーは複数のエリアを担当しており、例えば週の前半は秋田支店、週の後半は盛岡支店といった出張での面談対応でした。東北は広くて移動が大変なので、カウンセラーの方にはご苦労様という感じです。

企業数や求人数も同様に横浜と盛岡では雲泥の差があるので、合同企業説明会は横浜ではありましたが、盛岡での開催はありません。
横浜ではハローワークのサイトに掲載されない求人が沢山ありますが、盛岡の求人のほとんどはハローワークに掲載されているので、カウンセラーが調べようが自分で検索しようが、検索条件が一緒ならば盛岡での求人調査は同じ結果になります。

カウンセラーとの面談は月一回行っていましたが、上述のとおり再就職か独立かについて明確な方向性を持っていなかったため、具体的な再就職先の検討や面接対策といった話し合いはありませんでした。
ほとんど雑談という場合もあり、カウンセラー曰く雑談目当てで面談に来る会員も珍しくはないとのことです。無職になって家に籠っているのは精神衛生上よくないので、面談の場を気分転換に利用しても良いそうです。カウンセラーとの面談と言われると、早く再就職先を決めるよう急かされるのでは?と身構えてしまいそうになりますが、決してそのようなことはなく、会員ごとの事情に合わせて柔軟に対応してもらえます。

まとめ

再就職支援会社のサービス内容は、基本的には転職エージェントと同じで、契約者が企業か個人かの違い、手数料の支払いが転職元企業か転職先企業かの違いぐらいです。

転職エージェントの手数料(成功報酬)は転職が決まらないとお金が入ってこないので、個人が転職エージェントに登録した直後はカウンセラーが積極的に転職先の紹介をしてきます。優柔不断な応対をしているとカウンセラーにしてみれば無駄な時間なので、しばらくすると連絡が途絶えてしまうことがあります。
その点、再就職支援会社の手数料は転職元企業が前払いしているため、契約終了までカウンセラーはしっかり面倒を見てくれます。前払いされているため、再就職が決まろうが決まらなかろうが収入には違いがないので、カウンセラーは雑な応対をするのでは?という懸念がありますが、転職元企業とは業務委託契約を締結していますし、雑な応対の評判は業界にも流れていきますので、その点は安心してよいと思います。とは言え、カウンセラーごとに個性やスキルの違いはあるので、満足な応対をしてもらえるかは保証できませんが・・

自身の選択による早期退職でも、事業所閉鎖等での会社都合の退職であっても、会社に再就職支援サービスが用意されているならば、自分の懐を痛めるわけでもないので、絶対に利用した方が良いです。セカンドキャリアを一緒に考えてもらってもよいですし、雑談相手になってもらってもよいですし、次のキャリアがより良いものになるよう再就職支援サービスを有効活用するのがよいでしょう。

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